フランス領南方地域の陸と海

French Austral Lands and Seas

  • フランス
  • 登録年:2019年、2023年軽微な変更
  • 登録基準:文化遺産(vii)(ix)(x)
  • 資産面積:166,267,100ha
  • IUCN保護地域:Ia=厳正保護地域、IV=種と生息地管理地域、VI=資源保護地域
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、ケルゲレン諸島グラン・テール島のロス山。標高1,850mは本遺産最高峰となる
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、ケルゲレン諸島グラン・テール島のロス山。標高1,850mは本遺産最高峰となる (C) Cousin jf
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、クローゼー諸島ポセッション島のラペルーズ湾の荒涼たる景観
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、クローゼー諸島ポセッション島のラペルーズ湾の荒涼たる景観。このように森林はほとんど見られない (C) Nweider
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、海と接続しているサン=ポール島のカルデラ
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、海と接続しているサン=ポール島のカルデラ (C) Antoine Lamielle
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、クローゼー諸島ポセッション島のミナミゾウアザラシと砂浜を埋めるオウサマペンギンの群れ
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、クローゼー諸島ポセッション島のミナミゾウアザラシと砂浜を埋めるオウサマペンギンの群れ (C) franek2
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、クローゼー諸島ポセッション島のオウサマペンギン
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、クローゼー諸島ポセッション島のオウサマペンギン (C) Céline Le Bohec
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、アムステルダム島のヒガシキバナアホウドリのヒナ
世界遺産「フランス領南方地域の陸と海」、アムステルダム島のヒガシキバナアホウドリのヒナ (C) Antoine Lamielle

■世界遺産概要

TAAF(フランス領南方・南極地域 "Terres Australes et Antarctiques Françaises")と呼ばれるフランス海外領土に属する島々で、インド洋南部に位置しながらインド洋・南極海・大西洋という3大洋の影響を受けている。南極大陸から2,000km弱、アフリカ大陸から2,000km以上、オーストラリア大陸から3,000km以上、ユーラシア大陸から5,000km以上と、いずれの大陸からも離れた絶海にあり、火山活動によって生まれた海洋島(大陸と陸続きになったことのない島)で、オアシス的な環境を活かして豊富で多様かつ独創的な食物網を構築している。海鳥や海洋哺乳類が世界でもっとも集中している場所であり、オウサマペンギン(キングペンギン)やヒガシキバナアホウドリの世界最大の生息地で、ミナミゾウアザラシの世界で2番目、アナンキョクオットセイの世界で3番目に大きいコロニーがあり、アムステルダムアホウドリやイートンオナガガモ、ケルゲレンヒメウをはじめ固有種や絶滅危惧種も少なくない。

構成資産はクローゼー諸島、ケルゲレン諸島、サン=ポール島およびアムステルダム島の3件で、資産面積166,267,100haは世界遺産中最大を誇り、続くキリバスの「フェニックス諸島保護地域」の40,825,000haやアメリカの「パパハナウモクアケア」の36,207,499ha、オーストラリアの「グレート・バリア・リーフ」の34,870,000haなどを圧倒している。

なお、2023年の軽微な変更では資産範囲が拡大されている。

○資産の歴史と内容

クローゼー諸島、ケルゲレン諸島、サン=ポール島およびアムステルダム島という3件の構成資産は東経50~78度・南緯37~50度ときわめて広範囲に広がっており、それぞれ1,200~2,200kmほども離れている。

大気・大地・海洋のそれぞれで重要な境界に位置しており、そのため気候や地形・生態系といった点でさまざまな影響を受けている。大気の点で、一帯は極地・高緯度帯の大気循環との境をなす寒帯前線と、低緯度帯の大気循環との境をなす亜熱帯前線との間にあっていずれの影響も受けており、気候的にも亜寒帯から亜熱帯の地域が広がっている。大地の点で、一帯は南極プレート、アフリカ・プレート、オーストラリア・プレートという3枚のプレートの境目にあり、クローゼー諸島とケルゲレン諸島は南極プレート、サン=ポール島およびアムステルダム島はオーストラリア・プレート上に位置している。海洋の点で、インド洋・南極海・大西洋の影響を受けており、南には寒流である南極環流、西には暖流である南赤道海流、東には寒流である西オーストラリア海流が流れ、深層海流においても暖流と寒流が流れている。

多様な境界面にあることがオアシス的環境の価値を高め、高いバイオマス(空間あたりの生物量)を実現し、特殊で多様な生態系のベースとなっている。

 

■クローゼー諸島

約10の島からなる諸島で、ポセッション島とエスト島という2つの主島がある東部と、コション島やパングワン島、アポッスル島を中心とした西部に分けられる。クローゼー・ホットスポット(ホットスポットはマントルから上昇したホット・プルームの真上に位置する火山活動が活発な場所)と呼ばれるマイクロ・ホットスポット(局所的なホットスポット)の活動で造山され、主な島々は成層火山の海洋島となっている。

東部の島々の噴火活動は少なくとも800万年前まで、西部の島々は40万年前までさかのぼり、いずれも新生代新第三紀(2,300万~258万年前)から第四紀(約258万年前~現在)にかけて造成されたものと見られている。いずれも島は大きくないが切り立っており、諸島最高峰は標高1,050mのエスト島のマリオン・デュフレーヌ山で、 標高934mのポセッション島のマスカラン山、標高853mのコション島のリシャール・フォイ山が続いている。

一帯は亜南極に属し、年平均気温は5.3度、年平均水温は4度と低く、一方で年間降水量は2,400mm(東京は約1,500mm)と雨や雪は非常に多い。風や海流は強く、特に風については平均で時速40kmの風が吹いており、年100日は時速120km以上の風が吹き、200kmを超えることもある。

風雨や波による激しい侵食や風化(岩石や地形が日光・空気・水・生物・寒暖差・化学反応など繰り返される自然の作用で次第に破壊されること)が進んでおり、パングワン島やアポッスル島などでは山体がほとんど崩壊して数百万年前の岩盤が露出しており、数百m級の断崖も見られる。氷河は残っていないが、エスト島などでは最終氷期(約7万~1万年前)の氷河の跡が残されている。こうした火山・氷河・侵食・風化といった作用が諸島のダイナミックな景観を生み出している。また、資産として広大な海域を含んでおり、水深は最大で2,000mを超える。

諸島はフランス人航海士マルク・ジョゼフ・マリオン・デュ・フレンヌの遠征で1772年に発見され、ジュリアン・クローザーが上陸したと伝わっている。鯨類や鰭脚類(ききゃくるい。アザラシ、アシカ、オットセイなど四肢がヒレ状に進化した動物)の狩りのために港や基地が建設されたこともあったが、住民はいない。

 

■ケルゲレン諸島

ケルゲレン諸島はグラン・テール島(ケルゲレン島)を中心に300以上の小島や岩礁からなる諸島だ。ケルゲレン海台(海台は大洋の底から立ち上がる台地状の地形)に位置し、南東415kmほどに同じ海台から立ち上がるオーストラリアの世界遺産「ハード島とマクドナルド諸島」がある。

中生代(2億5,000万〜6,600万年前)から新生代(6,600万年前~現在)にかけてケルゲレン亜大陸があった場所で、2,000万年ほど前に海中に没したと考えられている。海台の多くは2,000m未満の深さだが、近郊の一部は水深4,500mまで落ち込んでおり、ケルゲレン諸島はその頂部に位置している。

海台の地下にはケルゲレン・ホットスポットがあり、その活動で約3,500万年前に海洋島が誕生してグラン・テール島となった。最高峰はロス山で、標高1,850mのグラン・ロスと1,721mのプティ・ロスというふたつの峰を有している。激しい火山地形と侵食・風化の跡が見られる点はクローゼー諸島と同様で、海岸線は複雑に入り組んでおり、面積的にはフランス本土の1.2%にすぎないが、海岸線の全長約2,800kmは本土の海岸線(約3,400km)のおよそ80%に相当する。また、切り立った断崖も多く、エギュイヨン岬では高さ500mに達している。

際立っているのは氷河地形だ。島の西部から中部にかけての大部分がクック氷冠で覆われており、全長12kmのビュフォン氷河をはじめ約20の氷河が流れ落ちている。周辺では氷河が山を削ってU字形に谷を掘り抜いたU字谷や、クレーター状に穴を穿った圏谷、取り残された険しい峰・ホルン、窪地にできた氷河湖、氷河によって削られた土や石が集まって層を作るモレーンといった氷河地形が見られ、海岸にはU字谷に海水が流れ込んだフィヨルドが広がっている。

一帯は亜南極に属し、年平均気温は4.6度で、年間を通して気温差が少ない。グラン・テール島の東と西で降水量が大きく異なり、東側では年間降水量760mm程度であるのに対し、西側では3,500mmに達することもある。つねに強い西風にさらされており、年300日以上も時速50kmを超える突風が吹き、冬から春にかけては150~200kmに達することもある。

ケルゲレン諸島は1772年にフランスの海軍将校イヴ・ジョゼフ・ド・ケルゲレン・ド・トレマレックによって発見された。やがて漁業や軍などのための基地が築かれ、現在も科学者や兵士などが滞在しているが、住民はいない。

 

■サン=ポール島およびアムステルダム島

南のサン=ポール島と北のアムステルダム島は約90km離れており、インド洋で唯一の亜熱帯の島々として知られる。

両者ともアムステルダム=サンポール・ホットスポットと呼ばれるマイクロ・ホットスポットの活動で誕生した。TAAFでもっとも新しい島々で、噴火自体は70万~40万年ほど前にはじまったものの、海洋島になったのは10万年ほど前と見られている。いずれも島の多くをカルデラ(火山活動で生まれた凹地)が占めており、サン=ポール島では島の北東に海と接続した直径約1,200mのカルデラが見られ、アムステルダム島では標高881mのディヴ山の山頂に直径約2,000mのカルデラが口を開けている。サン=ポール島はアムステルダム島より新しい島で、楯状火山の山体のほとんどが海中に沈んでおり、温泉などの活動が続いている。一方、アムステルダム島では現状、火山に付随した活動は見られないが、15もの火口が点在している。また、西海岸が高さ700mを超えるのに対し、東海岸は100m未満と、火山活動によって高さが著しく異なっている。

亜熱帯に属する2島は亜寒帯のクローゼー諸島やケルゲレン諸島とは明らかに異なる気候で、年平均気温は14度、夏の最高気温は25度に達し、冬でも氷点下まで落ちることはない。年間降水量は1,100mm程度で、雨は主に熱帯低気圧によってもたらされる。

先に発見されたのはアムステルダム島で、世界周航を成し遂げたマゼラン隊のバスク人航海士フアン・セバスティアン・エルカーノが1522年に目撃したという。1633年にオランダ総督アントニオ・ファン・ディーメンが船名であるニーヴ・アムステルダムからその名を取った。一方、サン=ポール島は1559年にポルトガル人航海士によって発見され、ポルトガル船サン=パウロ号によって調査された。いずれも住民はおらず、科学調査などを除いて上陸は禁止されている。

 

■生態学的・生物学的価値について

本遺産は特に生態学的・生物学的重要性を持つ生態系や、固有種や絶滅危惧種の生息地としての価値が高く評価されている。

海鳥について、一帯には47種5,000万羽を超える海鳥が生息している。特徴的なのが100万超のつがいがいるとされるペンギンで、オウサマペンギン、ジェンツーペンギン、ヒガシイワトビペンギン、キタイワトビペンギン、ミナミイワトビペンギン、マカロニペンギンの6種が生息している。特にクローゼー諸島はオウサマペンギンの世界最大の生息地で、「ペンギンの島」の名を持つパングワン島やコション島には巨大なコロニーがある。オウサマペンギンは最大で水深240mまで潜水する能力があり、深い海も役立っている。キタイワトビペンギンはIUCN(国際自然保護連合)レッドリストの危機種(EN)、ミナミイワトビペンギンは危急種(VU)だ。

世界最大級の海鳥であるアホウドリは一帯で8種が繁殖しており、それ以外に5種が定期的に渡ってくる。この中でアムステルダムアホウドリはアムステルダム島の固有種で、IUCNレッドリストの危機種であり、2018年時点で100羽未満しか確認されていない。アムステルダム島に個体数の60%が集中するヒガシキバナアホウドリも危機種だ。ワタリアホウドリはアホウドリの中でも最大種で翼幅は3.7mに達し、80年以上生きることもある長寿でも知られる。こちらは危急種に指定されており、個体数の38%が一帯に集中している。

ミズナギドリは21種が繁殖している。"Pachyptila macgillivrayi" はサン=ポール島の固有種で、1990年代に絶滅寸前に追い込まれたが、、その後ネズミの根絶が成功し、再定着しているのが確認された。ただ、現在もIUCNレッドリストの深刻な危機種(CR)に指定されている。ノドジロクロミズナギドリはオーストラリア南部からアフリカ南部、南アメリカ南部にかけて広く生息しているものの危急種で、一帯でも繁殖している。

これ以外の希少な海鳥として、ケルゲレン諸島の固有種であるケルゲレンヒメウ、クローゼー諸島とプリンスエドワード諸島の固有種のクローゼーウ、一帯に99%が生息するケルゲレンアジサシなどがいる。また、亜南極の島々で暮らすミナミオオセグロカモメやミナミオオトウゾクカモメ、ケープシロカツオドリやオーストラリアシロカツオドリは固有種ではないが、きわめて重要な繁殖地となっている。

陸鳥は少ないものの、いくつかの希少種がいる。イートンオナガガモはクローゼー諸島とケルゲレン諸島の固有種で、主に島の草原や水辺などに生息しており、危急種に分類されている。

鰭脚類は4種、アザラシ科のミナミゾウアザラシ、ヒョウアザラシ、アシカ科のナンキョクオットセイ、アナンキョクオットセイが生息している。ミナミゾウアザラシについてはサウスジョージア島に次ぐ世界2位の生息地で、アナンキョクオットセイについては世界3位の生息地とされ、後者は特にアムステルダム島に多いことからアムステルダムオットセイの別名がある。体表に斑点が見られることからその名が付いたヒョウアザラシは一帯で繁殖行動は取らず、より極地で繁殖する。

鯨類はダンダラカマイルカ、シロハラセミイルカ、イロワケイルカ、シャチなど6種が繁殖している。イロワケイルカにはケルゲレン諸島の固有亜種がおり、頻繁に目撃される。回遊している鯨類にはセミクジラ、イワシクジラ、ナガスクジラ、マッコウクジラ、シロナガスクジラ、ザトウクジラがおり、春から夏にかけてオキアミなどを捕食した後、亜熱帯や熱帯の温暖な海に戻って繁殖する。

魚類について、海域が広いことから近海性・遠海性・深海性と数多くの魚種がおり、200種近くを数える。こうした魚類はオキアミをはじめとする各種プランクトン(浮遊生物)やネクトン(プランクトンより移動力が大きな遊泳生物)、マイクロネクトン(プランクトンとネクトンの中間的な生物)に支えられており、プランクトンやネクトンは島や深海からの養分を得て繁殖している。頭足類、棘皮動物、甲殻類、軟体動物など多くの動物に影響を与えており、豊富なバイオマスの要因となっている。

陸上生態系は豊かとはいえないが、種は少ないものの固有種率が高いという特徴を持つ。たとえばクローゼー諸島に生息する無脊椎動物の過半数は固有種だ。気温が低くつねに強い潮風に吹かれており、肥沃な土壌もないことから森林はほとんど存在せず、低木やヒース(荒れた低木帯や草原、あるいはそこに生える植物)、草原・荒原が中心となっている。際立っているのがアムステルダム島のディヴ山のカルデラで、インド洋にほとんど見られない泥炭湿地にはミズゴケやシダをはじめ固有種を含む希少種が多く、アムステルダム島とトリスタンダクーニャ諸島の固有種であるフィリカ・アルボレアが唯一の樹種となっている。

■構成資産

○クローゼー諸島

○ケルゲレン諸島

○サンポール島

○アムステルダム島

■顕著な普遍的価値

○登録基準(vii)=類まれな自然美

手付かずの自然を有する本遺産は地球上で最後の原生地域のひとつである。亜南極地方における海鳥と哺乳類の類を見ない集積地であり、多様な種・音・色・香りが調和した巨大なコロニーを有している。一例を挙げると、クローゼー諸島のコション島には世界最大のオウサマペンギンのコロニーがあり、アムステルダム島のアントルカストーの断崖には世界最大のヒガシキバナアホウドリのコロニーが、グラン・テール島のクールベ半島には世界第2位となるゾウアザラシの生息地がある。生命に満ちた壮大な火山景観はこの地の卓越した個性をさらに際立てており、人の想像力を刺激し、誰にとってもインスピレーションを喚起するものである。

○登録基準(ix)=生態学的・生物学的に重要な生態系

本遺産は3つの大洋の収束地に位置し、大きな大陸棚を有している。そのため比較的貧相な海の中にあってきわめて生産性が高く、豊かで多様な食物網の発達が可能となった。

遺産は広大で世界最大の海洋保護区を含んでおり、そのため南極海の生物多様性とそこで生起する生態学的プロセスを高いレベルで表現している。そしてまたその中で生物種の生活環を支援し、すべての鍵となるエリアを保護することで、海鳥と哺乳類の高い集中性を維持している。これらの主要生産地の重要性と炭素循環の調節機能における役割は海洋の健全性に関して本質的な役割を果たしている。

大陸から何千kmも離れ、人間活動の影響から保護されたこれらの離島は生物進化の真のショーケースであり、地球の変化を反映するユニークなモデルである。

○登録基準(x)=生物多様性に富み絶滅危惧種を有する地域

本遺産は47種5,000万羽以上に及ぶ鳥の生息地であり、世界の鳥類の保護に関してきわめて特別な地域である。このうち16種については個体数の半数近くがこれらの島々で繁殖しており、たとえばオウサマペンギンやヒガシキバナアホウドリの世界最大の生息地であり、同地の象徴的な種であり世界的でもっとも希少な鳥類のひとつであるアムステルダムアホウドリなど8種の固有種も生息している。加えて世界で2番目に大きいミナミゾウアザラシのコロニーと3番目に大きいアナンキョクオットセイのコロニーを含む鰭脚類の巨大な生息地であり、グラン・テール島にいる固有亜種のイロワケイルカのような希少な鯨類も生息している。

本遺産は南極海にあって種の豊富さと多様性において非常にユニークであり、この地域の顕著な普遍的価値の要因となっている。

■完全性

本遺産の生態系には人間が居住しておらず、人間活動の直接的な影響から保護されていることから複雑だが平静な環境を特徴とし、ほぼ手付かずの生息地で暮らす在来種の個体数が多い。遺産は広大で、672,000平方kmを超える世界最大の海洋保護区のひとつであり、種の生活環に不可欠な機能領域をすべてカバーしているため、種の豊富さと多様性が長期にわたって維持されている。資産の完全性は高いレベルの生態学的連結性と共通の管理システムによって確保されている。本遺産は国立自然保護区にも指定されており、外来種や漁業・気候変動といった脅威に対処するための効果的な施策を実施するとともに、アムステルダム島におけるフィリカ・アルボレアの植樹や古い建造物の解体といった再生に関する活動も行っている。人間活動について、中期的には開発の計画も存在しない。

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